深呼吸する言葉

言葉の力

白日日記

metakit2005-03-15

フジテレビとライブドアの戦いは、人情(不合理)とビジネス(合理)との戦いで、しかし人情を語る人たちも、現実には冷酷なビジネス感覚で生き抜いてきた人ばかりだから、その矛盾を突いた堀江くんは正しい。「お金で買えないものはない」という言葉を今、言い切るのは、ある種のニヒリズムで、それを批判する森元首相のように、現実の政治は金だけで動いていることを知っているくせに、タテマエでは道徳的なことを言うヤカラの偽善を突いている。マスコミは言わないが、日枝さんは、いくつか致命的なことを言ったりやったりしてしまった。まずTOBで、財界系の企業にお願いして、安い価格で買ってしまった。このことが、それぞれの企業の株主に対する背任であることは当然だが、それよりも、報道機関であるフジテレビが多くの企業に「借り」を作ってしまったことだ。今後、東京電力三菱電機にトラブルがあった場合、フジテレビは「公正」な報道が出来るかどうか疑問だ。報道機関のトップが他に借りを作ることは、絶対にやってはいけないことなのだ。ポニキャンを1000億円で買い上げるつもりなら、なんでTOB価格を1万円にして借りを作らない形でLFを救わなかったのか。日枝さんも、背後の証券会社も、金の使い方がサラリーマン的であり、経営者の判断ではない。この辺が自力で財をなした堀江くんと、組織内の権力闘争で上に上がった人間との違いなんだろう。新株予約権に対しても、3000億円で買っても、その金はCXからLFに流れるだけだから、自分たちは損はしない、というようなことを日枝さんは自慢気に語っていたが、財布の中身が同じなのならば、最初からCXとLFを合体させておけばよかった。こんなことを言ったら、LFの株主が怒るのに決まっている。ポニキャンにしても、これは通常の商行為として、CXはポニキャンの制作販売ノウハウを評価してコンテンツを提供していのではないのか。単なる身内だから仕事を発注していたのだとしたら、これはCXの株主に対しても、背任になるだろう。つまり、フジサンケイグループの数百社の企業は、自立した個人としての企業ではなく、一つの組織の忠実な部品だったということで、これは、日本の企業の中にいるサラリーマン個人のあり方を投影するものとして、大きな質問を投げかけているのだと思う。