深呼吸する言葉

言葉の力

白日日記

metakit2006-01-03

「ポパイ」という雑誌が出来た時に、「コラムとは何か」ということを議論したことがある。コラムというのは短いエッセイだが、単に短いエッセイではない。単行本1冊分の内容を400文字3枚に収められるのが良いコラムである。それは読者にとっても、時間短縮になって効率的であり、雑誌というものの密度を高めることにもなる。しかし、出版業界の慣習は、原稿用紙1枚いくらという価格設定だから、名コラムを書いても単行本1冊分の原稿料をくれるわけではない。出版界は、誌面では「量から質への社会的変換」というようなことを言いながら、相変わらず商品の本質である原稿料については、旧来の物理的生産コストの呪縛から抜け出ることはなかった。日本のコラムニストは、ネタを薄めたり、同じネタを繰り返して使うことでしか、食うための道はなかった。もっと「見本」になる名コラムがたくさん出てきていれば、ブログの時代も大きく変わっていたと思うのだ。誰もが好きなことを書けるブログの時代だからこそ、日本に、本当のコラムマガジンが必要になっていると思う。