深呼吸する言葉

言葉の力

白日日記

metakit2006-06-27

■何かの領域、市場だけが突出して活性化する時代ではなく、あらゆる領域にドラスティックなシステム変化と意識の変化が必要とされている。突出した領域がないだけに、逆に大きな変革の時代がやってきた。産業構造、メディア構造、教育構造、家庭構造、恋愛構造、農業構造、交通構造、通信構造、選挙構造、などなど。僕が「企画書」という処女作で書こうとしたことは、内容ではなく、あらゆる領域に共通している問題があるということを示したかった。メディアから、医療、教育、食べ物屋までに共通する方向性を書きたかったのだ。僕の場合は参加型社会というのがテーマだったが、更に大きな枠組みでいえば「脱近代」である。


■ここ半年ほどは、オンブックと平行して「教育構造」にエネルギーを集中してきた。昨日、ワンステップが終わった。やれやれであるが、これから大変だ。


■耐震構造問題から住宅のあり方が問われている。構造計算の合理化のために民間に委託したことによって、事件は起きた。時間がかかって融通のきかない役所仕事の方が、逆に設計業者が緊張して自制して書類を提出していたわけだが、民営化になってなめられてしまった。建築許可というシステムを維持する役所が、安全を目的にするのではなく、認可のスピードを目的としてしまったのだ。近代合理主義の蹉跌である。


■住宅問題を、物理的な建造物の視点からだけではなく、そこに住む人間関係や生活者のあり方の視点からも見るべきであり、その二つの視点の融合した観点から住宅基本法を制定すべきだ、と語っているのは小林秀樹である。「脱近代」と彼は語っている。秀樹は、所有でも賃貸でもない住宅のあり方として「定期借地権住宅」という概念を成立させ法制化した男である。僕の義弟なので、彼が学生の時代から知っている。彼は、普通の建築科学生がデザイン指向に走るところを、ひたすら団地のコミュニティ調査とか、国際化時代におけるアジア人向け公営住宅などを考えていたのだ。「なわばりの集住学」(彰国社)は、今も重要なテーマである。


■あらゆる領域に、根源的な問いを発し、具体的な変革作業を進めている人がいるのだろう。僕は、そうした人と会っていきたい。「脱近代」の具体的な構築である。